宇宙はエンタメ
―村主さんにとって宇宙とは?
僕にとってはエンタメであり、宇宙を研究している人たちや宇宙事業関連の方が発信してくれている情報を日々追いかけてる時間は本当に楽しいです。新しい星やブラックホールが見つかったとか、新しい望遠鏡が開発されたとか、物凄い量の情報が毎日更新されています。
僕らが生きるこの全次元を含めた構造を解き明かしたいですし、そこをハックしたいと思うので、そのためのヒントを模索する日々です。
―具体的にはどうやって情報を手に入れているんですか?
手段は皆さんと同じで、専門家から聞いたりYouTubeなどのSNSや本ですね。世界中の天才たちが日々発信してくれるので、そこの情報を追いかけるだけで大変なんですが、世紀の発見とかでなくても、この理論の整合性の隙が見つかったとか、あとは太陽系の惑星の天候とかもチェックしてます。この星は明日は強風で、風速10万㍍、気温は6000度とか。意味不明だと思いますが。
人間の本当の価値
―仕入れた情報はどう活かすんですか?
大前提として、何かをすぐに活かすことは意図していません。むしろ、今すぐ活用できない情報にこそ価値があると思っているぐらいです。すぐ活かせるならそれだけ汎用性も高くて誰でも活用できるということですかね。
敢えて意味を見出すのであれば、日常生活の中で、様々な要因によって思考を下げられることに対して、「抽象度をあげるため」でしょうか。たとえば、山に登って頂上から景色を見渡したとき最高に気持ち良く感じて、それと同時に自分がとても小さな存在に思えたことはあると思うんですが、日常の喧騒や自分の悩みがちっぽけでどうでもいいと思う感覚、これが抽象度をあげるということです。宇宙という高次元の情報を得ることで似たような意識状態を作っているんです。僕のある意味専門でもある瞑想もその大きな役割を果たしてくれてますね。
―どうしても情報に触れる際に、何に活かすかということを考えてしまいます。
もちろん僕もそうですし、活かせるものは活かしたらいいと思っていますが、すぐに真似ができるノウハウやテンプレートなどの情報やそれによって得られた結果はすでにコモディティ化されているものです。本当に同じようにやれば同じ結果になるのであれば、価値に差が出ないということ。もちろん全ては積み上げでもあるので、簡単に活かせるものは活かせばいいんです。でも本当に重要なのはすぐに活かせないものや誰も気にしていないようなこと、一見どうでもいいと思えるようなことに没頭できるか、時間を使えるかが、本当の人間としての希少性に繋がってくるだろうなとは思っています。
―人間の価値を高めなかったら?
AIに取って代わられるでしょうね。みんなができることやテクニックで解決できることはAIが全部代替します。それがAIの真骨頂です。AIができることを人間がやってもその人の価値にはなりませんし劣化版に過ぎないので。AIのほうが優秀になってくるし、そもそもそこで張り合う意味はないし確実に勝ち目はありません。だからこそ、AIにはできないことを追求するしか人類に残された道はないですかね。
逆に言うと自分がやってた手間がかかることをAIに任せて、自分はひたすらクリエイティブにエンタメとして生きればいいので、そうやってワクワクできる人が一人でも増えてくれることが、人間全体の価値の総量を飛躍的に上げていくことに繋がっていくんじゃないでしょうか。