国家の破綻と貧困の現実

国家の破綻からはじまる貧困

—今まで本当の意味の貧困レベルの状況の地域や、国の破綻などに村主さんが実際に直面したことはありますか??

わかりやすいのは2022年7月に首相が国の「破産」を宣言してたスリランカへの支援ですかね。国家が破綻するときって、ある日いきなり今日から破綻しましたとなるわけではなくてその前から国家財政が逼迫し、危機的状況に陥っているという情報が世界に流れているんです。スリランカも破綻する数カ月前から国家政策の不振による経常赤字の拡大や外貨不足によりデフォルト(債務不履行)になっていて破綻するのは時間の問題だったので破綻の情報を得てすぐに現地に入りました。

どの国もそうだと思うのですが、国家が破綻しても富裕層は資産があるのでそこから取れる選択肢も多く様々な融通も利くのでいいんです。問題はそうではない人たちです。日々の生活すらもままならないのに国が破綻してインフレになって物価が急上昇したり、当たり前に買えていたはずの食糧や生活必需品が手に入らなくなって本当に困窮していました。

—支援額は実際どのくらいなんですか?

僕が関わっている複数の団体で様々な形で支援したんですが、もちろん億単位です。その一部は現地に行って現金で直接支援しました。当時は銀行からの引き出し制限があったり、どこまで銀行が機能するかわからない不透明な状況だったんです。銀行に送金したところでそのお金を引き出せなかったら支援になりませんから。

国家が破綻するというのは本当に大変なことで、一度破綻してしまうと新しい政府が機能するまでずっと破綻した状態が続きます。システム障害のように数時間、長くても数日で復旧するような簡単なものではないので、国民は当たり前の日常を奪われたままいつ終わるのかわからない不安や恐怖に襲われ、死と隣り合わせになります。今回のスリランカの時には、その怒りや苦しみの矛先が失政した大統領に向けられて大統領官邸が襲撃されたり、暴動が起こっていましたね。

—当たり前がなくなるイメージがわきません。

たとえば、スリランカではガソリンが買えなくなりました。外貨不足によってガソリンが輸入できなくなったので国内に残っているガソリンを求めてガソリンスタンドには長蛇の列ができ、数リットルを給油するために48時間並ぶ事態になっていましたね。実際に現地で目の当たりにしましたが、そういう状況になるとガソリンを節約するために列に並んでいる間は車のエンジンを切っているので、前に進みたいときはみんなで車を押して進むんですよ。めちゃくちゃ暑い中で冷房もない真夏に外で何十時間も並ばないといけないというホントに酷い状況でした。

他には電気も止まったので、日々の生活やサービス、ビジネスに悉く影響がでました。深刻だったのは病院です。送電が停止されて医療機器が使えなくなり、ガソリンがなくて医師が移動手段を失って病院にこられないので手術もできません。薬も入荷しないので在庫が捌けてしまったら助けられるはずの命を助けられない。こんなことが普通に生活を送っていた一般の人たちに突然降りかかるのは恐怖ですよね。

当たり前を再評価する抽象度を持つ

—そう聞くと、当たり前に国家が破綻していないのはすごいことのように感じますよね。

そうですね、国家財政が破綻せず日々の生活が守られ、今日も明日も当たり前に買い物ができて餓死の心配もなく生きられることがある程度保証されているのは、当たり前のようですがホントはもっと感謝すべきことなんです。実際にデフォルトしてる国は定期的に出てきますからね。日本も破綻の危機があると財務省系の人たちが騒いでたり、そんなわけないと逆勢力が騒いでたり、日本に関しても色んな意見がありますが。

—今更ですが日本は恵まれているんですね。

物価の高騰、実質賃金の低下、増税、経済成長の停滞など、日本も様々な課題を抱えていますが、国全体としてはGDPも世界で五本の指に入るレベルですし、明日もきっと生きているよねという生存欲求が満たされている日常があります。これは政府が国と国民を守るために正常な国家運営をしているからこそ実現できることなんです。諸手を挙げて政府の施策が全て素晴らしいと思ってはいませんが、少なくとも日本という国が破綻することなくここまで続いてることは先祖の皆様の努力の賜物なので感謝の想いがとてもありますね。

仕事、家族、人間関係など悩みはあると思いますが、国家規模の貧困に比べたら今ある目先の悩みは小さいものに感じるでしょうし、それを味わえることがある意味幸せで楽しいことだったりするんですよ。こういう抽象度を持った人が日本全体、世界全体に増えたらいいですしそれが僕が描いている世界平和が実現した先にある社会、人の在り方です。

—日本全体の抽象度を上げて世界平和を実現するために政治家になろうと思ったことは?

もちろんその可能性を模索してたくさんの政治家さんとのお付き合いもさせて頂いていて、全ての可能性を未だに遮断してはいないんですが、現状はなかなか難しいと思っております。

どちらかと言うと大手の会社に就職するよりも自分で会社を立ち上げて大きくしたり、巨大勢力側ではなく、何かの巨大勢力に立ち向かうのが好きなタイプなので、大きな国のかじ取りをするよりは、新しい国を作るといった方向性に思考は向きがちです。

あとはこの物理空間からの離脱というか、次の次元に人類を進めたいと思っていますので、そこもそのうち発表したいなと思っています。

貧困回避と資産構築の必要性

—これからの時代、貧困回避策として資産をもつことは必要?

それは当然必須になってきますよね。資産を持つことはつまり、選択肢を持つということに他なりません。台湾有事やロシアの問題で日本が仮に戦争に巻き込まれたときに、戦地に留まらずに安全な国に避難したり、仮に日本の銀行が何か問題が起きたときに海外資産を活かしたりといった形で、選択肢が多いに越したことはないですよね。ですが、そんなことは分かったうえで目先の生活ですらいっぱいいっぱいの人が多いので、現実問題として資産を持つことは簡単ではないですよね。

—資産の定義を確認させてください。

それは一般の意味での資産という意味と一緒ですよ。
ただ家族が資産とか、仲間や思い出が資産みたいな派生したものではなく、一般的な動産、不動産のことを指します。そういった派生した資産を否定しているわけではありません。ただ有事の際に不動産を持っていてもブランドの鞄を持っていても意味がないこともあるので、極端にどこかに偏った資産形成をするのではなく、分散しておくのが良いとは思いますね。