世界平和とは?
―村主さんの考える世界平和について教えてください。
解決すべき世界中の課題は山ほどありますが、世界平和実現に向けた優先度が高い順番に、全ての戦争を終わらせる、餓死するレベルの貧困の解決、教育を受けられない子どもをゼロにする、の3つを世界平和の実現 に向けた大きな目標と設定しています。
―やはり戦争の終結が最優先なんですね。
戦争という行為が、極限の状態に人を追い込み、死別や食や衛生、教育環境など、様々な問題を引き起こしてます。そして戦争の根本的な問題が、お金の問題や領土問題、政治や宗教の問題ですが、揉めてるのは基本的には国の上層部同士で、被害を受けるのが末端の国民というのは、通常の当事者同士の争いとの大きな違いだと思っています。だからこそ一刻も早く止めないといけないですし、根本解決をしないとどんな支援をしてもキリがありません。
―続いて貧困問題ですね。
これは戦争だけじゃない問題で、人類社会の生態系の構造の問題というか、ホントに難しい問題だと思っています。意図的に特定の国や地域を貧困状態にしておくことでメリットを享受している人たちが一定数確実にいるので、問題を解決しないことに意味があることも多いのが現状です。
―そして村主さんがある意味一番力を入れている教育問題について教えてください。
今の世界で教育がまったく受けられない国はないですし、どの国も都市は豊かで教育システムも完備されています。しかし、都市以外は教育システムが行き届いておらず教育格差が生じている国がまだまだ多いのが現状です。その格差をなくしたいので都市部以外の教育支援に力を入れています。しかし、教育支援はいろんな問題をはらんでいるので自分の活動についてはいつも自問自答しています。
―教育支援がはらんでいる問題とは?
そもそも教育というのは洗脳行為の一種なので、その結果人間を間違った方向に導くこともあるからです。教育により過度な競争が生まれ、受験戦争や失敗した子の自殺の増加などの問題は特に中国や韓国、日本では話題になっていますよね。
ただ、教育水準と収入は基本的に相関関係にあるので、将来の選択肢や生涯年収に影響することを考えると、学校に行かないほうがいいよねっていう結論にはさすがにならないので、今の活動を拡大しています。
ほかにも宗教問題にも必然的に絡むことになってしまいます。例えばイスラム教を例にとっても、シーア派サイドの国を支援するとスンニ派サイドから「テロリストの子どもを育てている」という批判を受けたりもします。彼らからすれば僕のしていることは敵国の子どもを育てていることになるからです。もし僕らが支援した子どもたちが本当にテロを起こしてしまったら、僕がしたことは「テロリストの育成」という評価になってしまいます。もちろん反対に、彼らが自分の国を治める優秀な人になったら「優秀な政治家の育成」ができたという評価になるでしょう。
教育支援の評価は何を基準にするのかによってプラスにもマイナスにもなりますし、国や文化が違えば評価基準も大きく異なります。それを気にしていたら何もできませんし、まずは目の前に解決すべき苦しい状況があるならば解決したいと思っています。
―少しでも子どもたちにチャンスや選択肢を与えてあげるというのは大きいですよね。
そうですね。ただしこれも難しくて、選択肢が多いことが必ずしも良いことではないとも思っています。選択肢が全くない子どもたちが、選択肢を得るというのは素晴らしいことだと思ってはいるんですが、人間は選択肢が多いから悩んだり、日本人みたいに選択肢が無限にありすぎて身動きが取れないということが起こり、それが幸福度の低下に繋がったりもします。
常にこんな感じで全てにおいて禅問答みたいなことをしながら活動しています。
世界平和への具体的な活動
―戦争をゼロにする活動について教えてください。
こうすれば戦争が止められるという答えはまだ僕にはありませんが、各国の政治家も含めて有力者とのネットワークを強化しています。他には少年兵や拉致された子どもを解放する活動もしています。明確にこの戦争を止めましたと言い切れるものはまだありませんのではやくやっていきたいです。
―戦争をゼロにする活動でむずかしいと感じることは?
心の問題、歴史の問題が絡んでいてお金だけで解決できないところですね。長期間にわたり殺し合いをして、数万人規模で憎しみあっていますから。でも、ルワンダのように部族間の争いで大量虐殺が起きた過去があっても、現在では国民みんなが自分たちの国は世界一平和な国だと思っている国もあります。そうなるまでに何十年という期間を要しましたが、諦めないでアプローチしていけば必ずできるんです。戦争をなくすためにこれからも時間をかけて、世界中の戦争関係者に根気強くアプローチをしていきますし、そのための複数の施策を進めています。
―教育支援の活動を教えてください。
都市部とそれ以外の地域の教育格差を解消するために、世界中に教育のネットワークを構築しています。そのプロジェクトがmaaaru(マール)です。学校建設の後に様々な問題で放置されてしまった校舎が世界中にはたくさんあります。学校を建てることがブームだった時期に富裕層が建てたものも多いんです。彼らにとって一種のステイタスだったんですね。その後、継続的な学校運営やサポート費用を出せなくなったりなどさまざまな理由で放置されてしまいました。その放置校舎を再建し、既存の学校には施設の拡充や人材の支援によって子どもたちがより充実した教育を受けられるようにしています。
—maaaruとほかの団体との違いは?
maaaruでは一人の支援者と世界の学校の一校を1対1で対応させていて、一人の支援者が支援して頂いた内容を明確に1円単位で報告しています。自分の寄付金が、どの国のどの学校で何になったかを、支援者本人が分かる公明性が最大の売りだと思っています。
—maaaruに参加するには?
支援は1口100万円(1maaaru)が基本で、その支援者だけのコミュニティを運営したり、毎月の勉強会なども開催しています。もちろん自由に支援金額を決めて小口から寄付をして頂ける仕組みもありますので、100万はいきなり無理だけど、少しでも世界の子どもたちのために何かしたいと思って頂ける方は、そちらから少しでもご協力頂けたら嬉しいです。
具体的な寄付の流れ→
―そもそも、なぜ世界平和をやろうと思ったのか?
自分は凄い恵まれた状況で生まれたと思っていて、勉強ができたのも、運動ができたのも、ビジネスで成功できたのも全ては運だと思っています。そして世界にはその「運」に恵まれなかっただけの人が物凄く多いので、その人たちに、ぼく自身の努力や才能を超えて得られたものを、少しでも還元するのは「運」に恵まれた者として当然のことだと思ってます。正直全てがある意味自分というか、利他も利己もないと思ってるので、その究極の状態の世界平和を当たり前に目指してる感じです。